ミシガン大学医学部(Michigan Medicine)が開発したグリシンベースの実験的トリペプチドが、マウスおよび非ヒト霊長類において代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH)を改善した。The Journal of Clinical Investigationに掲載された研究によると、この効果は腸管由来のアンモニアの減少と腸管バリアの強化に関連しているという。
ミシガン大学医学部の研究チームは、腸内細菌であるウェルシュ菌(Clostridium perfringens)の過剰増殖が腸内のアンモニア濃度を上昇させ、それが腸管粘膜を侵食して腸管バリアを弱めることで、炎症性の微生物産物が肝臓に到達し、MASHを悪化させる可能性があると報告している。
マウスおよび非ヒト霊長類を用いた一連の実験で、チームはグリシンベースのトリペプチドであるDT-109が、ウェルシュ菌のレベルと腸内のアンモニア生成を抑え、腸管バリアを強化することを発見した。非ヒト霊長類において、DT-109は肝臓の炎症軽減および疾患重症度の低下と関連していた。
「DT-109が腸管上皮バリアを保護し、MASHの発症や進行に関与すると考えられる有害な微生物産物の全身への流入を減少させるという明確な証拠を確認しました」と、本研究の責任著者であり、ミシガン大学医学部で心血管医学のフレデリック・G・L・ヒュートウェル教授を務めるユージーン・チェン氏は述べている。
研究者らは、腸管バリア機能障害は複数の消化器疾患に関与しているため、今回の知見は脂肪肝疾患以外にも影響を及ぼす可能性があると述べた。また、DT-109が心血管疾患の経路にも影響を与える可能性を示唆するこれまでの前臨床研究を指摘しており、非ヒト霊長類において動脈硬化や血管石灰化の低減が報告されていることを挙げた。
本研究は『The Journal of Clinical Investigation』に掲載された。研究者らは、DT-109をヒト臨床試験へと進めるために、今後さらなる安全性と有効性の評価を行う計画であるとしている。