京都の後継者が伝統菓子あん納豆を新素材で守る

京都の中京区壬生で、4代目店主の近藤武氏が、伝統的な和菓子あん納豆をカカオ豆などの新素材で革新している。2022年に立ち上げた「修花」ブランドは、若い世代や海外への普及を目指す。伝統を基盤としたこの取り組みは、文化の存続を支えるものだ。

京都の中京区壬生に位置する鳥六屋は、戦後すぐに再開したあん納豆専門店だ。1926年、近藤氏の曾祖母・末子氏が東山区の南座前で創業し、「都名物」のスローガンで白いんげん豆などのあん納豆を販売した。戦時中一時閉店したが、戦後壬生に移り、小売から菓子店への供給業へ転換した。

35歳の近藤武氏は当初、家族経営を避けていた。中学時代の友人のからかい「甘い納豆? 気持ち悪い!」が原因だった。しかし、京都大学の大学院生時代に転機が訪れる。壬生寺の節分会で祖父の時代からの屋台を手伝い、約3000人の来場者に驚嘆。家族の生業が自身の教育を支えたことを実感し、恩返しを決意した。大学院修了後、菓子メーカーで2年間勤務し、26歳で家業に加わった。

顧客の高齢化に危機感を抱いた近藤氏は、2018年のイタリア食イベントで教訓を得る。栗あん納豆は即完売したが、伝統的な白いんげん豆や小豆のものは残った。甘く煮た豆が西洋食文化に合わないと悟り、チョコレートやジェラートとの組み合わせを着想した。

2020年のコロナ禍で事業を引き継ぎ、カカオ豆あん納豆の開発に着手。水吸収や加熱法を試行錯誤し、同年末からオンライン販売を開始。外出制限下の変わり種需要でヒットした。2022年に「修花」ブランドを確立し、カカオ、ピスタチオ、カシューナッツなどの非伝統素材をシロップ漬けで保存。北海道産ビート糖や徳島産和三盆糖を使い、堅めの食感を実現した。「あん納豆の魅力は、素材の形と色を保つこと」と近藤氏は語る。

2023年には、大豆ミルクとシロップを使ったジェラートをカフェで提供。カカオ、ピスタチオ、白いんげん豆バニラのフレーバーが国内外の客を惹きつける。顧客層は60歳以上から30〜40代へ拡大した。「このブランドはあん納豆の文化を未来に繋ぐため。いつか世界中で楽しんでもらいたい」との夢を抱く。

創業の「本家あん納豆」看板を、京都の老舗が多い中で「独自性」を重視する精神と解釈。曾祖母の志を継ぎ、新旧融合の「進化するあん納豆」で伝統を次世代へ繋ぐ。

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